今回は「風防にはどんな種類、形状があるのか?」についてお話しようと思います。
また、ヴィンテージ時計に関する記事で度々「ドーム形状のプラスチック風防がよい」という記載を目にすることがあります。
私、個人的に「ドーム形状の風防は個性があっておもしろい!」と思う反面、「なぜドーム型のプラスチック風防に魅かれる人が多いのか」と疑問に思っていました。
今回は、その点についても考えてみようと思います。
風防とは
そもそも風防とは何でしょうか?
言葉の通り「時計を風から守るために設けるもの」を指します。
腕時計における風防は、文字盤の上に取り付けられる透明なパーツのことです。
風から腕時計の文字盤や内部を守るための重要な役割を担っています。
形状
風防の形状には「ドーム型」と「ボックス型」の2種類あります。
ドーム型
ドーム型は、風防がドームのようにカーブしているものです。
ボックス型
ボックス型は、外周部に立ち上がりをもたせたものです。
素材
風防の素材には主に「プラスチック」「ミネラルガラス」「サファイアクリスタル」の3種類あります。
プラスチック
プラスチックは、ガラスが普及する前のアンティーク時計の風防に多く使われている素材です。
樹脂であるため加工がしやすく、傷がついた場合でも研磨することで傷を目立たなくすることができます。
しかし、薄いと割れてしまうため、ある程度の厚みを持たせる必要があります。
ミネラルガラス
ミネラルガラスは、最も一般的に使われているガラスです。
ミネラルガラスはそれほど硬くないため、傷つきやすいというデメリットがあります。
しかし、安価で加工がしやすいため、多くの腕時計に利用されています。
サファイアクリスタル
サファイアクリスタルは非常に硬く、傷つきにくい素材です。
高価なため、高級時計に多く使われています。
ドーム型のプラスチック風防について
では、ここでヴィンテージ時計の記事でよく見かける「ドーム型のプラスチック風防」について考えてみようと思います。
ここからは、文章に私の個人的な考え・推測が含まれることをご了承ください。
なぜドーム型なのか?
なぜドーム型なのでしょうか?
今回、調べた結果、「風防を割れにくくするための工夫」ということがわかりました。
ドーム型の風防は曲面を持つため、外部からの力が1点に集中せず、広い範囲に分散されます。
これにより、特定の部分に過度な力がかかることを防ぎ、割れにくくなります。
ただし、ドーム型の風防は曲面になるため、見る角度によっては文字盤が歪んで見える可能性があります。
この歪みは、好きな人にとってはメリットとなりえますが、そうでない人にとってはデメリットになってしまう点です。
なぜドーム型のプラスチック風防に魅かれる人が多いのか?
今の技術があれば、ドーム型のプラスチック風防を使わずとも「壊れにくく、見やすい風防」を実現することができます。
平面のサファイヤクリスタルに両面無反射コーティングをすれば、傷つきづらく、見やすく、歪みもない最高の風防ができてしまうのです。
それにも関わらず、ドーム型のプラスチック風防に魅かれる人が多くいらっしゃるのはどうしてでしょうか?
私は2つ理由があると考えています。
1つ目は、「そうあるべき理由がある」ということです。
1930年代~1950年代において「時計を風から守るために設けるもの」として「強度を高めるためにドーム型」にする必要があり、「ドーム型にするために、加工しやすいプラスチック」を使う必要がありました。
このように「ドーム型のプラスチック風防」の合理的でシンプル、かつ機能的で「そうあるべき理由」に美しさを感じているのではないかと思います。
2つ目は、「技術的制約への挑戦」です。
モノづくりの発展は「○○という機能が欲しい。しかし、そこには技術的な課題がある。どうしたら解決できるのか」と技術者が知恵を絞ってきた歴史と言い換えることができると思います。
時計や、時計作りに興味のある人々にとって「ドーム型のプラスチック風防」は、時計師たちが知恵を絞って作り上げてきた時計史を知る1つのピースなのだと思います。
その時計師たちの技術的制約への挑戦への敬意や尊敬の念のようなものが、魅力に繋がっているように感じています。
さいごに
今回は風防についてまとめました。
部品1つにしても、いろいろな技術や歴史があって面白いと感じました。
「なぜドーム型のプラスチック風防に魅かれる人が多いのか?」について、思ったことを2つ挙げましたが、書き終わった今、改めて考えると「シンプルにかっこいいから」という理由なのかもしれないなぁとも感じ始めて、自分の考えがブレブレになっています…。
このブログでは、そういったブレブレ感も優しい目でお楽しみいただければ幸いです。
まだまだ書きたいこと、調べたいことが山のようにあるので、これからもコツコツ投稿を続けていこうと思います。
また、次回の投稿でお会いできれば幸いです。
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